【日記】おかねがこない

けいやくしょってめんどいよねってはなし

フリーで仕事をもらう際には、相手先と業務委託契約を結ぶのが基本です。

仕事の単価や、支払い期日、確認の手順、秘密保持について、などなど。
後々、揉めてしまわないように様々な取り決めが盛り込まれています。
とても大事な契約なのです。

しかし、これがけっこう、面倒くさい。

大抵の場合、契約書は会社である先方が用意してくれます。
契約書の内容を確認して、単価や支払いの時期などをすりあわせて、郵送で送りあって印鑑を押して印紙を貼り付けて……と毎回やるのは、わりと面倒です。

制作に半年などかかる大口の契約ならともかく、1週間や1月で終わる小口の契約でそれを結ぶのは億劫です。

慣れてくるとついつい、この作業を省いてしまいがちになります。

そしてそれが今回、とても問題になりました。

とあるお仕事

今から半年ほど前、とある成人向けPCゲームのシナリオを依頼されました。

1キャラ分で、金額はだいたい一月分の生活費くらいでしょうか。
まだまだ駆け出しで、もっともっと小口の依頼しかない身。
諸手をあげて依頼に飛びつきました。

メールを何度かやり取りして、タイトルの資料なども送られてきます。
シナリオの単価については、資料の中のテキストファイルに記されていました。

話もだいぶ煮詰まって、いよいよ実作業に入るという段階。
契約書の話がなかったので、こちからもちかけてみました。
すると、

「うちは多数のライターさんやデザイナーさんと仕事をしている」
「ライターはすぐ納期を遅れるし、いなくなることも多い」
「だから基本的に、業務委託契約は結んでいない」
「契約書を結んだら遅延の損害賠償なども決めることになる」
「どうしても結びたいなら結ぶけど、どうする?」

というような旨のメールをいただき、

「あ、じゃあいいです」

と安易に答えてしまいました。
結果的に、それが全然、いくなかったわけですが……

おしごとおしごと

なお、支払いサイトについてもなんら提示がなかったので、これもこちらから確認しました。
月末精算、翌月末払いということで、OKをもらいます。

さて、決めることを決めたら、あとはおしごとです。

プロットを作り、確認に出し、OKをもらいます。
CG指定書を書き、確認に出し、OKをもらいます。
シナリオを書き……こちらは難航して、最初にこちらから提示した納品期日から、3週間ほど遅れます。

「発売に間に合わなくなるからはやく!」

と催促のメールをいただきつつ、なんとかシナリオを書き上げ、確認に出し……

返事がこない。

梨の礫

1週間ほど待って、メールを出すも、やはり梨の礫。
しばらく経って、思い出したように返事がやってきます。
まだ確認していない、とのこと。

翌月末が近づいてくるにつれて、不安になってきます。

「先月末に全納品をしたので、今月末支払いですよね?」

と確認のメールを送ります。
すると、

「タイトル発売した翌月支払いですけどわかってます?」

という返信。

いやー……
それはさすがに……

ちゃんとメールで確認したじゃん、とその時のやりとりを貼り付けて送ると、

「あ、他の人と間違えてました」

との返信。
さらに不安が募ります。

シナリオ全納品からまるひと月後が経った頃。
「緊急」と題した一通のメールが、先方から届きました。

「CG指定書の書式が指定と違う! よく見ろ! これじゃ金を払えないぞ!」

それ出したの2ヶ月も前だよ……
しかも、その時にはOKって言ってたのに……

と思いつつ、すぐに書式を修正して、翌日には提出します。
ちなみに、シナリオはまだ確認していないとのことでした。

あれだけ催促しといて……?

待ち金、来ず

そして運命の月末がやってきました。
結果はもう、言わずもがな。

待ち金、来ず。

数日待ってから、催促と確認のメールを送るも、また梨の礫。
しばらく経ってから、ようやく返信がきました。

「今、確認中です」

たぶん「まだ確認中だから納品完了じゃない」という言い分なのでしょう。

ちなみに、業務委託契約書には通常、確認作業の期日も定められています。
納品後、何日以上連絡がない場合は現品に問題がなかったとみなす、みたいなものです。
でも契約を結んでいないので、そんな決まり事は当然、ありません。

そして二ヶ月経つ現在も、待ちぼうけです。

けいやく、だいじ、ぜったい

かけだしのライターなんて、余裕も蓄えもない、貧乏生活なわけです。
その中で、丸一か月分の生活費が来ないというのは、もう苦行です。

ていうかむしろ、人生詰んだ?

その後、方方に営業をかけて、仕事をかき集めて、なんとかやりくりには成功しました。
人生は無事にノーコンティニューです。

聞く話によれば、フリーで1度や2度は経験するという、未払い問題。
吹けば飛ぶような弱小ライターにとっては文字通りの死活問題です。

けいやく、だいじ、ぜったい。

この言葉を深く、深く、胸に刻みつけました。
相手が何を言ってこようと、契約書は交わすべきです。

まぁそもそも、契約書を作りたくないとかいう相手と取引すること自体がすでに危ういわけですが。
しかし、爪に火を灯すような日々を送っていると、どうしてもそのあたりの判断が甘くなってしまいがちです。
もっと余裕を持って、堅実に生きていきたいものですね。

もし似た境遇にある方がコレを読んでいたのなら、どうぞお気をつけ下さい。

あがき続けていれば、きっといつか良いことあるよ! 頑張ろうぜ!